ムラサの独白なSS

たまに、昔の夢を見ることがある。





手を伸ばしても、何も掴めない。
もがいても、もがいても、ただひたすらに沈んでいく。

周りの冷たさが、まだ残っている私の体温を奪っていく。
周りの海水が、私を浸蝕し私を私でないものに変えていく。

息が、できなくなる。
肺に込めていた酸素が薄れていき、体の中に冷たい水が流れ込んでくる。

苦しい。

刻一刻と苦しみは増してくる。
自分で感じられる許容量を遥かに超えた苦しみが私を押し潰す。



そして、私は。







…そこで、目を醒ます。

ぐちゃりと嫌な湿気を肌に感じながら体を起こすのだ。



私は幽霊ではあるが実体を持っていまここにいる。


だが私の躯はどうだろう。
今もあの冷たい海の底にある。
長い時間が経っても、腐敗でぐちゃぐちゃになっても独りきりで、きっとまだそこにいる。



そんなことを思いながら、また深い眠りへ微睡む。



独りきりの私の躯はこうして幽霊となった私を怨んでいるのだろうか。
地上に戻り、船を駆り、仲間に囲まれて暮らす私を憎んでいるのだろうか。



もしそうなら、時折見るこの夢は残された私からの罰なのか。


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そんなムラサの独白。うぉぉムラサうぉぉ!

イベントで買ったムラサ本がめちゃくちゃ好みだったのでムラサ株が急上昇しております。

そーなのよねぇ。ムラサって幽霊だから死んでるんだよね一応…。
最近気付きましたが暗い過去のあるキャラに惹かれる、または勝手にやたらと暗い過去設定を捏造する傾向にあるようです自分。いわゆる厨二設定ですごめんなさい。